奥まったところにある追慕庭園や煙竹共同墓地のエリアから、戻ってくるとしましょう。
入り口右手の斜面を埋める土葬墓域のいちばん高いところに、以前には見たことのない建物があります。
アクセスする坂道のコンクリートも真新しいこれは、韓国の火葬場には付き物の「幽宅の丘(유탹동산)」です。これができたのはどう見ても最近ですね。これができる以前はどうしてたのかなあ…ちょっと覚えがありません。いわゆる「散骨」の需要は前々からあったはずなのですが。
屋根の下には、祭壇と遺灰の投入口があり、裏に回れば投入された遺灰の回収口があります。
ここに遺灰を投入すれば、個別性はなくなりますから、当然のことながらその故人の個別の墓域は形成されないことになります。韓国的な意味でのいわゆる「自然葬」とはやや別の括りになり、「散骨」と通常は言われます*1が、これもまた、土葬墓が占める土地面積、納骨墓や納骨堂がもたらす人工物といった、墓地をめぐる環境や経済の問題を「解消」する一つの方法として、数えられるものと思われます。
参考までに、過去に他で見た「幽宅の丘」の例を挙げておきます。
【仁川の風景】仁川家族公園の公園化は止まらない・その10:「幽宅の丘」とその周辺
*1:集められたのちに海などに撒かれるのではなく、地中に埋められる場合も含め、韓国では「散骨」と称するようです。