【南海の風景】南海追慕ヌリ定点観察2020・その1:「平峴共同墓地」自然葬化計画の結末は

釜山編を終えて南海編に移ります。南海追慕ヌリには何回となく来てます。

釜山からなら、沙上の西部バスターミナルから南海行きの市外バスに乗って、ターミナルに着いたらそこからタクシーに乗ればすぐです。

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こう見えてちょこちょこ変化している定点観察ポイントですので、今回も定点を順に観察していくとしましょう。

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まずは、平峴平里自然葬追慕墓域から。セオリー通り、まずは反対側の斜面の上から全体を眺めます。

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うーん、なるほど。前回から見えていた兆候が、さらに進行してますね。移動して近くで見ることにしましょう。

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こっちはまあ、前回の時点でほぼ完成していたので、見た目はほぼ変わっていません。個別の墓域が完成しているくらいですか。

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問題は、階段を挟んでそのすぐ横のこちら。前回の時点で着工はしてましたけど、こんな風になったわけですか…。

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これはまた、なかなかなものを造り上げましたな。これ、どう考えても、旧来の平峴共同墓地の自然葬地化計画の当初にはなかったはずのものです。同心円状の植え込みを核とする、この自然葬地の当初からのデザイン、それとの整合性がまったく取れていません。後付け感ハンパない。

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この大規模造成工事は、向かい側の斜面にある納骨平葬墓と同じ形態を取っています。なので、まったく新しいものが出現したとは言い切れませんが、それでも納骨平葬墓とは異なる要素があります。盛り土で造られる墓域、その平面部分の使われ方です。

個人単位で墓が並ぶ納骨平葬墓域に対して、こちらはもう初めから完全に宗中(門中)墓地の形態を前提としています。

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このような、火葬を前提とした*1宗中(門中)墓地は、平峴平里の他の区画でも以前から見られたものですし、ここ以外でも土葬墓のリノベーションのあり方として近年では一般に見られるものです。

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ただ一方で、南海追慕ヌリは本来、南海郡の葬墓文化の現代化を目指して開設された経緯もあり、土葬時代から長らく個人単位の墓域を作り続けてきました(一部に例外はあります)。その原則が、平峴平里自然葬追慕墓域の造成から崩れつつあるようです。

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平峴平里がリノベーションして開設された当初は、個人や夫婦単位のお墓がポツポツ見られたものですが、いつしか一族単位の宗中(門中)墓地が墓域を席巻するようになりました。

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おそらく計画外の展開がここに見られるのは、個人的にはたいへん興味深い現象です。おそらくこの墓域はこの方向で満場になるまで突き進むと思います。再整備で造成されたエリアで無秩序に宗中(門中)墓地が広がるスプロール現象が起きているのが気になるところですが、場合によっては最初に見たような切り土盛り土で平面を造り出す再工事を行なって整理し直す、といったこともありそうです。そうなれば、もはや当初の姿は消え失せてしまうでしょうが、たぶん需要に応える方が優先されるでしょう。今の芝生の斜面の姿だってどうせ人工的なものですし。

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この規模ですから、満場は少し先になるでしょう。その後どうするのか、予測は難しいのですが、南海郡の行政手腕やその時々の葬墓文化のトレンドによって決まっていくと思われます。

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*1:つまり、死者の火葬、および過去の土葬墓の遺体を掘り起こして火葬することが前提となる。