日大フェニックスのラフプレー問題:関学ファイターズの記者会見

否応なしに注目が集まった関西学院大学での記者会見。私も主要なところはネット生中継で視聴することができました。

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日本大学からの回答および今後の対応について
2018/05/17

 日本大学アメリカンフットボール部(以下、「日本大学」といいます。)からの5月15日付回答書(以下、「本件回答書」といいます。)に対する弊部としての現時点での見解は、以下のとおりです。
 なお、本件回答書については、以下にPDFファイルで掲載いたしますので、あわせてご確認ください。
 【5月15日付日本大学からの回答書】(PDFファイル)

・まず、現在に至るまで日本大学の責任ある立場の方より、本件で被害に遭った選手およびその保護者に対し、直接の謝罪の申入れがなかったことにつき、遺憾の意を表します。5月24日迄に追加の回答をいただく際には、日本大学の部長および監督から弊部の被害選手・保護者へ直接謝罪していただくことを要望いたします。

・試合後1週間以上も経過しているにもかかわらず、本件回答書には本件に関する具体的な事実・経緯などチームとしての見解が記されていません。日本大学には、5月24日までに改めて1プレー目の反則行為に関して貴部が把握する事実、当該プレーに至った経緯、それまでの指導内容、試合後の対応等を具体的に回答していただきたく存じます。
 弊部が特に疑問を抱いているのは、なぜ昨年の甲子園ボウルや今春の試合ではルールの範囲内でプレーをしていた選手が、突然このような意図的で危険かつ悪質な行為に及んだのかという点です。どのような指示・指導があり、本人がどのように理解・判断してこのような行為に至ったのか、本件回答書が「問題の本質」とする、指導者による指導と選手の受け取り方との間の乖離について真摯な調査に基づいた具体的な説明をいただきたく存じます。

日本大学の指導者はルールに基づいた「厳しさ」を求めていたとのことですが、①極めて悪質な1プレー目が反則(アンネセサリーラフネス)とされた時点で、指導者が当該選手の交代を指示し、当該選手を厳しく注意・指導しなかったこと、②2回目の反則行為の時点でも同様に指導者が当該選手の交代を指示し、当該選手を厳しく注意・指導しなかったこと、③3回目の反則行為により当該選手が資格没収となってチームエリアに戻るに至っても、指導者が当該選手を厳しく注意・指導する様子がうかがえないこと、④試合後に内田監督が「あれぐらいやっていかないと勝てない。やらせている私の責任」(日刊スポーツ 5/6配信)とコメントしていること等を勘案すると、ルールを逸脱した行為を監督・コーチが容認していたと疑念を抱かざるを得ません。

・「監督に『責任はおれが取る』と言われていた」(MBS)「(日本大学)関係者は反則が内田正人監督の指示だったとも明かした」(日刊スポーツ)「『試合に出場したかったら、1プレー目で相手のQBを壊してこい』と指示した」(ハドルマガジン)など多数のメディアで日本大学の指導者が反則行為を指示したと思われる報道が相次いでなされています。仮にこれらの報道が事実とすると、本件回答書にある「規則に違反し貴部選手を負傷させる意図は全くなく,選手全員に『厳しさ』を求め,士気を上げるために行ったもの」という範疇を逸脱していると考えます。この点についても改めて真摯に事実確認を行っていただき、結果について5月24日の回答書において説明をしていただきますようお願いいたします。

 以上のとおり、本件回答書によって、弊部の抱える疑問、疑念を解消できておらず、現時点では誠意のある回答とは判断しかねると考えております。

 今後につきましては、本件回答書および5月24日までに届く回答書を踏まえ、対応を検討いたします。

 なお、近日中に行われる関東学生アメリカンフットボール連盟規律委員会による弊部へのヒアリングにつきましては、当該選手および保護者とともにチームとして全面的に協力する所存です。

2018年5月17日
関西学院大学体育会アメリカンフットボール

http://www.kgfighters.com/topics_detail2/id=1221

率直に言って、関西学院サイドの対応は極めて真っ当で誠実なものであったと思います。「嘘をつかず、正直に事実を話してほしい。そのうえで、きちんと謝罪してほしい」というのは、「その通りです」としか言いようがありません。

アメフット 関学大「日大との信頼関係は完全に崩壊」断言
毎日新聞2018年5月17日 20時08分(最終更新 5月17日 22時21分)

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日大の反則行為で、記者会見に臨む関学大アメフット部の小野宏ディレクター(左)と鳥内秀晃監督=兵庫県西宮市で2018年5月17日午後1時24分、小出洋平撮影

真相究明に程追い内容の日大回答、責任者から謝罪なく…

 アメリカンフットボールの日大-関学大定期戦(6日、東京・アミノバイタルフィールド)で日大守備選手が反則行為を重ねた問題について、関学大の鳥内秀晃監督と小野宏ディレクターは17日、日大に対する不信感をあらわにした。関学大が抗議文(10日付)で求めた「反則プレーに至る経緯やそれまでの指導内容などを含めたチームとしての見解」が盛り込まれず、真相究明には程遠い内容の日大の回答に加え、内田正人監督ら責任者から謝罪のない現状に小野ディレクターは「両校はライバルとして深いつながりがあるが、今は決定的に信頼関係は損なわれ、完全に崩壊している」と断じた。

 問題の反則プレーについては既に複数の関係者が「監督の指示」と明かしており、「最初のプレーでQBを壊せ」などと指示していたという。しかし、日大の回答では内田監督の発言内容を具体的に記さないまま、「選手の受け取り方に乖離(かいり)が起きていた」「試合前ミーティングでの監督の発言は、規則に違反して相手選手を負傷させる意図は全くなく、選手全員に『厳しさ』を求め、士気を上げるため」などと釈明している。

 これに対し、鳥内監督は「選手との乖離というなら、最初の反則で選手をベンチに下げて『求めている厳しさはそれではない』と言うべきだ」と主張。「そういう厳しさをチームに求めたなら、みんながああいうプレーをするはずだが、やったのは一人だけ」とも指摘し、回答内容に納得していなかった。さらに「あの監督のもとにコーチがいる。(監督に)意見を言えない可能性がある。それで学生を守れるのか疑問。受け入れられない」と日大指導陣全体を非難した。

 小野ディレクターも「反則行為を監督・コーチが容認していたと疑念を抱かざるを得ない」として「日大が自浄能力を持って真相を究明し、関東学生連盟もきちんと調査してほしい」と訴えた。

 負傷したQBは右膝軟骨損傷などで全治3週間と診断され、後遺症などは残らない見込みだが、現在も練習に復帰していない。刑事告訴など法的措置の可能性について小野ディレクターは「本人や家族が決めること」と否定しなかった。

 大学日本一を決める毎日甲子園ボウルの優勝回数は関学大が歴代最多28回、日大は同2位の21回。内田監督は昨年12月の同ボウルで日大を27年ぶりの優勝に導いた。【来住哲司、倉沢仁志】

日大の回答書に対する関学大の見解◇

・部長および監督から、被害選手や保護者への直接謝罪を要望する。

・1プレー目の反則行為で把握している事実や経緯、試合後の対応など具体的な回答を求める。

・反則行為をした選手を交代させず、退場処分後も注意・指導される様子がうかがえない。ルールを逸脱した行為を監督・コーチが容認していたと疑念を抱かざるを得ない。

・多数のメディアで日大の指導者が反則行為を指示したという報道が相次いでおり、改めて事実確認を行い、5月24日の回答書で説明を求める。

・関東学生連盟によるヒアリングには、被害選手および保護者とともにチームとして全面的に協力する。

https://mainichi.jp/articles/20180518/k00/00m/050/061000c

アメフット 「非常に悪質だ」関学大の記者会見・一問一答
毎日新聞2018年5月17日 20時41分(最終更新 5月17日 22時21分)

 アメリカンフットボールの日大-関西学院大定期戦(6日、東京・アミノバイタルフィールド)で日大守備選手が反則行為を重ねた問題で、関学大アメリカンフットボール部の鳥内秀晃監督と小野宏ディレクターは17日行った記者会見の一問一答は次の通り。

 --回答書を受け取った状況は。

 ◆小野宏ディレクター(D) 5月15日に日大のコーチが持参して、スタッフに手渡した。

 --一連の対応についてどう考えるか。

 ◆鳥内秀晃監督 指導者による指導と選手の受け取り方に乖離(かいり)があったということだが、もしそうならば、あのプレーが起こった時に、なぜベンチに戻して「(厳しさとは)そういうことではない」と言えなかったのか。あれを受け入れたら、スポーツは成り立たない。非常に悪質だ。次の日にでも、やはり責任者が直接謝罪するというのが筋。同じ指導者としては到底、受け入れられない。我々も指導しているが、やはり汚いプレーや反則プレー、相手を故意に傷つけるということはやるなと指導している。「もし重篤な事故が起これば、君らも背負うことになるよ」と前から言っている。

 --日大の内田正人監督が、公の場で発言していないことについて。

 ◆鳥内監督 監督、そして日大の中でも地位のあるところにおられる。はっきりと記者会見し、おわびの一言をとは思う。

 ◆小野D なぜこういうことが起きたのかという真相の究明こそが大事。そのことが解決へとつながっていく。

 --回答書は負傷選手も見たのか。警察への告訴は。

 ◆小野D 回答書はすぐ、被害選手の父親に送った。本人が見ているかどうかは、ご家族の中で判断していると考えている。警察に関しては、主体は本人、家族なので言及は避けたい。

 --今回のことは選手か、または監督の責任か。日大の回答に誠意が感じられなかった場合、損害賠償などの法的対応を考えているのか。

 ◆小野D 現時点の回答で、1プレー目の行為が選手か監督(の指示)かは判断できない。プレーヤー責任は間違いないが、監督責任については真相究明してほしい。24日までに届く回答に誠意がない場合は、定期戦は行わない。法的対応については家族の問題でもあるので、我々からの言及を控える。

 ◆鳥内監督 スポーツにはルールがある。あのプレーは悪質、故意である。あれを認めてしまうと、スポーツではなくなってしまう。あってはならないことが起こってしまった。そこに何があったのか、真相究明が私の望むところだ。

 --回答を見た時の感情は。

 ◆鳥内監督 指導者は学生の安全を守ることが一番。なぜ、そのまま出し(続け)たのか。1プレー目で起こったならば、あのプレーを見た瞬間にベンチに下げ、私であれば「この試合は駄目だ。求めている厳しさは、ああいうのではない」と言う。

 --社会問題になっていることに対して。

 ◆鳥内監督 こんな形で社会問題化しているのは非常に残念でならない。見れば見るほど、あのプレーは、これからフットボールをやろうとしている人の中で非常に危険ととられかねない。40年やっていて、初めて見た。あり得ない。こういう形で取り上げられるのは残念だ。

 --納得する回答とは。

 ◆小野D 誠意ある回答を求めているが、結論を押しつけるようなものではない。調査に基づいて、真相を究明してもらうこと。より具体的に言うなら、なぜ1プレー目が起こったのか。具体的事実が示され、納得できるものであれば誠実な回答だと言えるのではないか。

 --仮に監督からの指示だった場合は。

 ◆小野D 仮定の話なので。指示があったかだけではなく、総合的に勘案することが必要だ。

 --関学にとって日大の存在は。

 ◆鳥内監督 長い歴史の中で良いライバルでやってきた。ああいう事件が起こってしまうと、非常に残念。

 --日大との関係性は。

 ◆小野D 各世代で深いつながりを持って、いろいろな懇親を続けている。こういうことが起きたこと自体、そもそも信じられない。長い歴史に基づくOBとのつながりは今も変わらない。だが、今の両チームは決定的に信頼関係が損なわれている。完全に崩壊している。

 --内田監督の責任は。

 ◆鳥内監督 現場での責任者は監督だ。自分のチームでああいうことがあったというのは、監督の責任だと思う。

 --違反行為をした選手に今後、アメフットをする資格はあるか。

 ◆小野D どういう事情があったにせよ我々は生命に関わる危険で悪質なプレーと考えている。その行為自体が許されるものではない。ただ、なぜ突然あのプレーをしたのか真相究明されるべきだ。真実を解明することは、彼の人生のためにも必要だと思う。

 --内田監督をどのようにみているか。

 ◆鳥内監督 内田監督は厳しい指導で有名。ああいう事故が起こったわけだから、すぐにでも謝罪すべきだったと思う。後手後手に回っておかしくなり、(問題が)大きくなっていると思う。まずは我々の学生、保護者に謝罪は必要だと思う。

 --仮に同じプレーが関学で起こった場合は。

 ◆鳥内監督 うちのチームでは絶対ない。あり得ない。

 --今回の問題はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で拡散された。

 ◆小野D 試合当日は我々も見ていたが、誰一人、(QBが)タックルされたことを認識していなかった。ボールが投げられ、視界から完全に離れているところで行われていた。翌日からSNSにかなりの反応があった。昔であれば映像がなく、水掛け論で終わっていただろうが、(今はSNSで)あらゆるところで記録が残る。正直、ここまで大きな記者会見を開くことは想定しなかった。

 --日大との信頼関係が完全に崩壊したとのことだが、それは日大の監督・コーチ陣への信頼が崩壊したのか。

 ◆鳥内監督 監督にコーチが意見を言えていない可能性があり、それで学生を守れるのか。我々とは指導の仕方が全然違う。やはり受け入れられない。

 --タックルを受けたQB選手から報告はあったのか。

 ◆鳥内監督 被害を受けた選手自身が、どういうことが起こったのか分かっていなかったと思う。「レイト(タックル)でやられ、ひねられた」と。私自身もあのタックルを見ていないので、そこまで重篤だと思わなかった。(タックルを知って)後に大丈夫かと聞いた。

 ◆小野D 私からも電話をかけたり直接会おうとしている。だが、この2日間は風邪で休んでいる。今後、ケアをしていきたいと思っている。

 --被害選手の家族は。

 ◆小野D 家族はものすごく憤っている。プレーに関してや相手監督についての疑念、何よりも自分たちに対して謝罪が行われていないことへの憤りだ。できるだけ早く回復し、プレーに専念できる環境を作りたいと思っている。

 --被害選手は練習に復帰しているのか。

 ◆小野D まだ復帰していない。試合翌日に診察を受けて、膝の軟骨損傷と腰部打撲で全治3週間ということだった。だが、その2日後に左脚にしびれがあると訴えた。あれだけのタックルを受けたので精密検査を受けたが、現段階では神経に問題は無いということで安心している。本人も少しずつ良くなっていると言っているし、医師によると痛みがなくなったら練習に参加できるということだ。

 --違反行為をした選手の状況は。

 ◆小野D (関学大が)抗議文書を発送したのが5月10日。11日朝、日大コーチから電話があって「今から当該選手を連れて謝罪に行きたい」という連絡があったが、抗議文書を見ておらず、正式な回答や責任者の謝罪を求めていたのでお断りした。本人が謝罪したいという意思を示したことは大切なことだと思う。だが、選手だけの謝罪を受け入れるかというのは難しいところ。責任者と一緒に謝罪をするということが、被害を受けた選手、保護者、さらに当該本人にも大事なことだと思う。現段階で連絡はない。

https://mainichi.jp/articles/20180518/k00/00m/050/079000c