フランス映画「MISS ミス・フランスになりたい!」

面白そうですやん。すでに公開しているみたいで、「観れるかな?」と一瞬焦りましたが、近畿では4月公開なんですね。ちょっとチェックしとこう。

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「カテゴリーには分類されたくない」 仏映画「MISS ミス・フランスになりたい!」のルーベン・アウヴェス監督
2021年03月06日12時00分

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華やかなミスコンの裏側の描写も興味深い(C)2020 ZAZI FILMS-CHAPKA FILMS-FRANCE 2 CINEMA-MARVELOUS PRODUCTIONS

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ルーベン・アウヴェス監督(C)2020 ZAZI FILMS-CHAPKA FILMS-FRANCE 2 CINEMA-MARVELOUS PRODUCTIONS

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アレックス(右)を取り巻く個性的な人物たちも作品の魅力(C)2020 ZAZI FILMS CHAPKA FILMS-FRANCE 2 CINEMA-MARVELOUS PRODUCTIONS

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現場で指揮を執るルーベン・アウヴェス監督(C)2020 ZAZI FILMS-CHAPKA FILMS-FRANCE 2 CINEMA-MARVELOUS PRODUCTIONS

 男性として生まれながら、女性の美を競うミスコンテストに挑戦する。上映中のフランス映画「MISS ミス・フランスになりたい!」は、自身に内在する「女性性」に向き合い、幼い頃からの夢をつかもうと奮闘する一人の若者を描いた作品だ。

 ジェンダーという普遍的なテーマを掲げながら、随所にユーモアも交えたタッチの上質な娯楽作。俳優としても活動し、今作が長編映画2作目となるルーベン・アウヴェス監督は「この問題に興味を持つ人だけではなく、より多くの観客にアピールできる作品を目指した」と話す。

 アウヴェス監督によると、当初は体と自認する性が一致しないトランスジェンダーに関する映画を撮りたいと希望していたという。しかし、フランスでジェンダーレスモデルとして活躍するアレクサンドル・ヴェテールと出会い、彼の「女性になりたいとは思わない」との言葉を聞いて、両性具有的な人物を主人公に据えた作品を撮ろうと方向転換。ヴェテールを主演に迎えて今作を完成させた。

 物語はアウヴェス監督によるオリジナル(脚本は共同)。ヴェテールが演じるアレックスは、9歳の時に学校で「将来はミス・フランスになりたい」と言ってクラスメートに冷やかされ、その夢を封印して成長した青年だ。

 パリの場末のボクシングジムで働いていたアレックスはある日、ボクサーになる念願をかなえた旧友のエリアス(クエンティン・フォーレ)と再会する。自信にあふれるその姿を目の当たりにして、自分も幼い頃の夢に挑戦することを決意する。

 「ジェンダーにまつわる複雑な問題を抱えた物語だが、それをそのまま描いても単に生真面目な、やたらと深刻ぶった映画になってしまうだけ」とアウヴェス監督。アレックスの繊細な心理を丁寧に描きつつ、彼に協力する下宿先の風変わりな面々や、華やかさとは裏腹の知られざるミスコンの裏側といった描写の随所に笑いをちりばめた。結果、作品全体にはポップなムードも漂い、シリアスとユーモアが共存する独特のタッチを生み出すことに成功した。

 アレックスを特殊な存在ではなく、ごく普通の若者として描く視点を貫くことにも心を砕いた。これは、今も根強い「自分とは違うものに対する恐怖心が生み出す差別」に対する異議申し立ての意味合いもあったという。

 「人種差別も同性愛嫌いも、その根底にあるのは『彼らは自分とは違う』という恐怖感だ。でも、他人と違うことを恐れて、『同じであること』に迎合するような態度の方が恐ろしい気がする。まず、違いや差異を受け入れて相手を理解する。そうした姿勢こそ、私たちが今後も前進して生きることにつながると信じています」

◇常に自分らしくありたい

 現在41歳のアウヴェス監督は20歳で俳優デビューし、「イヴ・サンローラン」「あしたは最高のはじまり」などの作品に出演。2013年にはポルトガルからフランスに移り住んだ両親をモデルにした初の長編映画「La cage douree」を発表し、フランス、ポルトガル両国で大ヒットを記録した。

 映画作りでは、常に「自分が擁護したいと思う思想や意図を作品に込める」ことを旨とする。今作では「人間をある種のカテゴリーにはめ込もうとする社会を拒否する青年」を通して、「自分自身を受け入れてそれを引き受けることの大切さ」を訴えたかったという。

 「だから、この映画ではアレックスが男性なのか女性なのかは重要なテーマではない。大事なのは、彼が本来の自分自身を受け入れるに至るまでのプロセスなのです」。実際、本国で上映された際には、肥満や妊娠中絶などジェンダーとは全く関係のない悩みで苦しむ人々からも多数の共感が寄せられたといい、「私も大変驚きました」と言う。

 自身も今作のアレックスのように「カテゴリーに入れられることを拒否する、自由な映画作家でありたい」と願う。「常に本能に従って、自分のストーリーを語るのが理想」。チャールズ・チャプリンペドロ・アルモドバルクロード・ソーテら敬愛する映画監督は多いが、「最も映画作りに影響を与えているのは僕の実人生。常に自分らしくありたい」と話す。

 長編第1作を製作した際は、周囲の反対を押し切って主演にポルトガル人俳優をキャスティング。今作も、主にモデルとして活動し演技経験があまりなかったヴェテールの主役起用を疑問視する声が上がる中、「自分自身の直感を信じて」プロデューサーや配給会社を説得したという。

 その賭けは見事、吉と出たようだ。フランス国内での評価も高く、「ヴェテール自身が本来持っている品格や優美さがアレックスにも反映されている。彼を主役にするのはリスクもあったが、完成した映画を見て『彼ならできる』と信じた僕の思いに間違いがなかったことを確信しました」と満足げだ。

 現在はテレビシリーズと新作映画2本の企画が進行中。「『大衆的』とか『作家主義的』とかいうレッテルとは無縁でいたい」と話すアウヴェス監督の次回作に期待したい。(時事通信社編集委員・小菅昭彦)

 ルーベン・アウヴェス(Ruben Alves)=1980年1月9日生まれ、フランス出身。2002年に短編映画で監督デビュー。フランスと両親の母国のポルトガルを拠点に活動する。

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