韓国初のLRT

鉄道や地下鉄に乗るのをとかくめんどくさがり*1、何でもかんでもバスに乗って移動しがちな、「環境に優しく」ない韓国の日常生活に、このLRTは少しは変化を与えてくれるのだろうか。

導入間近のライトレールとは(上)

竜仁で来年開業へ
 京畿道竜仁市で今年、ライトレール(LRT)の建設工事が完了し、来年開業することで、韓国にも本格的なLRTの時代が到来することになる。LRTは10両編成程度で運行される一般の電車とは違い、1‐2両程度で運行される電車で、韓国では「軽電鉄」と呼ばれる。現在建設工事が進められている竜仁市、同道議政府市、釜山市、慶尚南道金海市を含め、全国約10カ所で建設計画がある。

◆韓国初のLRT・竜仁ライトレール

 竜仁市のLRTは今年12月に建設工事が完了し、6カ月間の試運転を経て営業運転を開始する。同市器興区旧葛洞から同区東栢地区を経て、処仁区のサムスン・エバーランドに至る総延長18キロの路線で、15の駅が設置される。高さ5‐11メートルの路盤に線路を敷設する工事は完了し、後は電気・通信設備など最終段階の工事を残すだけとなっている。2004年に着工して以来、これまでに掛かった事業費は6970億ウォン(約465憶3400万円)だ。

 一方、釜山市沙上区と金海国際空港を結ぶLRTは2010年末に工事が完了し、11年に開業する予定だ。総延長は23.2キロで、釜山市内に9駅、金海市内に12駅が設置され、2両編成で運行される予定だ。また、釜山市内でも交通渋滞が激しいことで知られる東莱区温泉洞の美南ロータリーから錦糸洞、盤松洞を経て機張郡の安平へ至る釜山交通公社盤松線は、03年12月に着工し、10年12月に開業する予定だ。総延長は12.7キロで、12の駅が設けられる。

 京畿道議政府市では、新谷洞と高山洞を結ぶLRTの建設工事が11年8月に完了する予定だ。総延長は11キロで、15の駅が新設される。現在のところ、線路が敷かれる332カ所の橋のうち、202カ所が完成している。起点の鉢谷駅から終点のタプソク駅までは20分かかる見通しだ。また、回竜駅で首都圏電鉄1号線と接続する。

 ソウルでも6路線のLRTの建設計画がある。ソウル市江北区牛耳洞と東大門区新設洞を結ぶ総延長11.5キロのLRTは昨年10月31日に起工式を行い、13年の開業を目指す。このほかに、▲蘆原区中渓洞と城東区往十里を結ぶ「東北線」(総延長12.3キロ、14駅)▲東大門区清凉里と中浪区面牧洞・新内洞を結ぶ「面牧線」(総延長9.05キロ、12駅)▲恩平区鷹岩洞から西大門区弘恩洞、延禧洞、永登浦区汝矣島を経て銅雀区の地下鉄7号線長承ベギ駅を結ぶ「西部線」(総延長12.05キロ、12駅)▲陽川区新月洞・新亭洞と永登浦区堂山洞を結ぶ「木洞線」(総延長10.87キロ、12駅)▲冠岳区のソウル大から同区の新林駅を経て汝矣島へ至る「新林線」(総延長7.8キロ、10駅)−の5路線が、それぞれ17年の開業を目指している。

 このほかにも、大邱市、仁川市、蔚山市、京畿道水原市、同道光明市、忠清南道天安市などでLRTを導入する計画がある。

http://www.chosunonline.com/article/20090208000017

導入間近のライトレールとは(下)

竜仁で来年開業へ

◆自動無人運転システムを導入

 全国各地でこのようにLRTの建設計画が進められているのは、運行に必要な人数が少なくて済むという長所があるためだ。先端技術を導入することで、LRTは整備のための要員を除けば人手がほとんどかからない。

 竜仁市に建設されるLRTは、わずか3人で27編成の電車を運行する。3人の仕事も、サムガ駅に設けられる中央制御室で異常の有無をチェックすることぐらいだ。LRTには運転士が乗務しない。各車両に搭載されるコンピューターが運転士の役割を担うのだ。コンピューターは区間ごとに設定された速度に従って電車を運行し、前の電車から送られてくる信号を受信して、距離を自動的に調節する。このため、運転士が運行する普通の電車では少なくとも2‐3分の間隔を空けて運転されるが、LRTは1分間隔での運行が可能になる。

 無人で運転されるLRTだが、事故の危険が高まるということはない。中央制御室のコンピューターは、各車両が設定されたルートを運行できるよう制御する。竜仁市のLRTでは、線路に人が立ち入った場合、赤外線センサーが作動して自動的に電車を止めるシステムが導入される。LRTを運行する「株式会社竜仁ライトレール」のチョン・ウルヨン常務は「竜仁と同じシステムの電車を運行しているカナダ・バンクーバーの“スカイトレイン”では1985年に開業して以来、飛び込み自殺はあったが、電車の衝突事故は1回も発生していない」と話している。

 LRTのもう一つの長所は、騒音が70デシベルに抑えられているため、住宅街や市街地でも騒音問題が発生しないということだ。70デシベルといえば、一般道路を車が走る際の騒音と変わらない。韓国鉄道技術研究院のイ・アンホ研究員は「鉄製の車輪が回転することでレールとの摩擦を引き起こす従来の電車とは違い、LRTの車輪にはゴムや緩衝材が使われているため、摩擦音も小さい」と話す。従来の電車の騒音は80‐90デシベルで、隣にいる人との会話も聞き取りにくい程度だ。

http://www.chosunonline.com/article/20090208000018

*1:事実、地下鉄以外の鉄道はダイヤが不便極まりないし、地下鉄は地下鉄で、エスカレータが少なく、ホームの位置が地下深く、路線間の乗換えにもやたら時間がかかる駅が多いことは確かである。