売買春という裏世界

スポーツ紙ならいざ知らず、「朝鮮日報」のような〈一流紙〉にこの手のネタが出ると、何とはなしに居心地の悪さが感じられて、社会にある表と裏の距離感について考えるきっかけになってくれそうです。

日本人の韓国旅行といえば、「キーセン旅行」という名の男性による買春ツアーがその代名詞だった時代は、確かにありました。

キーセン観光実態報告書 (1984年) (アジア問題シリーズ〈3〉)

キーセン観光実態報告書 (1984年) (アジア問題シリーズ〈3〉)

しかし、今どきの韓国旅行者にそうした連中が占める割合は、絶対数とともに比較にならないほど低下していますし、もっと言えば「韓国での買春」は、「日本発の買春ツアー」のごく一部に過ぎません。また、その他の買春ツアーの「目的地」が、経済的に大きな差のある途上国に集中しているかといえば、必ずしもそうでもないような気がします。

そうした点からすれば、この問題については、日韓関係という狭い枠にはめ込んでしまうのではなく、「先進国」である韓国人男性の海外での行状や、必ずしも途上国とは言えない国での売買春*1にまで踏み込んで取材してもらえればなー、と思います。

記事入力 : 2012/10/29 11:04
日本人向け買春紹介サイト、韓国に16種類

ソウル地方警察庁が摘発
日本人がサイトを通じ、韓国への買春ツアー同行者を募集


韓国への買春ツアーをPRしている日本語のウェブサイトのキャプチャー画面。日本語で書かれたこのサイトでは「ルームサロン」「フルサロン」「キス部屋」「韓国料亭」「マッサージ系」「バー」など、売春業者が種類別に紹介されている。

 「初めまして。福岡に住む会社員です。韓国でルームサロン(高級個室バー)みたいな所に一人で行くのはちょっと恥ずかしいので、気が合いそうな仲間を募集します。11月に訪韓予定です」

 これは先月24日、日本人を対象に韓国での買春をPRするウェブサイトに投稿された文章だ。「韓国での遊び友達募集」と題するこの文章には「私は11月3日の連休に行こうと思います」「私は三重県に住む会社員です。あなたの書き込みに賛同します」といったコメントが寄せられていた。互いに顔を知らない日本人たちが、このようにインターネット上で知り合い、韓国への買春ツアーを計画しているというわけだ。

 日本人を対象に、韓国への買春ツアーをPRするウェブサイトが登場している。かつて「キーセン(妓生=売春婦)観光」という名の下、旅行会社などを通じ買春目的で韓国を訪れた日本の男性たちが、今は何ら制約もなく、インターネットを通じて情報に接し、買春ツアーに出掛けているのだ。韓国への買春ツアーを紹介するサイトには、韓国の売買春文化をあざ笑うかのような日本人の書き込みもあふれている。韓国の恥ずかしい売買春文化の実態が赤裸々に暴かれているというわけだ。

 ソウル地方警察庁の国際犯罪捜査隊は最近、日本人を対象に韓国での売春をあっせんするウェブサイトが16種類あると把握し、このうち五つのサイトの運営者を逮捕するとともに、残る11のサイトの運営者の行方を追っている。

 日本人を対象に売春をPRする、あるサイトにアクセスしたところ「ルームサロン」「フルサロン(ルームサロンと売春用ラブホテルを一つのビルで同時に経営する風俗業)」「キス部屋」などの売春業者が詳しく分類されていた。ある日本人は「日本の風俗産業は衰退傾向にあるが、韓国はとても興味深い。フルサロンやルームサロン、キス部屋、あんまマッサージといった、この世に存在するあらゆる売春サービスを一度に体験できた」とコメントした。また、別の日本人は「ソウルは世界で最高だ」と書き込んだ。このサイトの運営者は「韓国料亭」に分類されたある売春業者について、半裸で韓服(韓国の民族衣装)を着用した女性の写真を掲載し「韓国の伝統料理と韓服姿の女性(の性的サービス)を同時に楽しめるのがセールスポイントだ」と説明した。

 このサイトには、まるで映画の感想を書くかのように、買春の体験談を書き込む掲示板も設けられていた。ある日本人は「韓国は価格が合理的なのがうれしい。マッサージやサービス、セックスまで含めて3万円程度かな。7カ月ぶりにソウルを訪れたが、とても有意義な旅行だった」とコメントした。さらに「私が韓国の風俗嬢に韓国語で『祖国を侵略した日本人に体を売って、どんな気分だい』と尋ねたら、すっかり顔色が変わり、とても怒った様子だった」という刺激的な文章も見られた。

 建国大身体文化研究所のキム・ジョンガプ教授は「このようなサイトは日本人に対し、韓国人を軽視、蔑視する材料を提供している。韓国に対する誤った認識を植え付ける役割を果たしているサイトは必ずや取り締まるべきだ」と指摘した。

 売買春の根絶を目的とする民間非営利団体(NPO)「ノット・フォー・セール」の代表で米国サンフランシスコ大教授のデービッド・バットストーン氏は今年7月に来韓し「後発開発途上国の貧しい女性たちが、金を稼ぐために売春に従事することが多い。韓国は1人当たりの国民所得が2万ドル(約159万円)を超える先進国であるにもかかわらず、売春が盛んだが、これは独特な現象だ」と語った。

ユン・ヒョンジュン記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/29/2012102901100.html

記事入力 : 2012/10/29 11:06
日本人の韓国買春ツアー、売買春防止法施行後むしろ増加

日本人対象の売春、1960年代から

 日本人を対象とする売春の歴史は1960年代にさかのぼる。韓国で日本企業のバイヤーたちを対象に性的な接待が行われていることが日本国内で知られるようになったことや、64年に日本人の海外旅行が自由化されたことにより、「キーセン(妓生=売春婦)観光」と呼ばれる日本人男性の韓国への買春ツアーが増加した。とりわけ、ソウルの高級料亭はキーセン観光の本拠地の役割を果たした。

 72年に日本の旅行会社が発行した観光ガイドブックでは「韓国は人間が持つあらゆる欲望を満たしてくれる国」と記述されていた。この年に韓国を訪れた日本人観光客の80%は、1人で訪れる中年男性だったという統計もある。当時の新聞には「韓服(韓国の民族衣装)姿の女性たちが出てきて存分に楽しませてくれた後、ホテルに行く」という記事も多く掲載された。73年にはこれに反発した梨花女子大の学生たちが、空港でキーセン観光に反対するデモを繰り広げるなど、社会問題になった。

 日本人によるキーセン観光は90年代初めまで行われ、年間70万−80万人が買春を目的に来韓したと推定されるが、その後日本経済が低迷する中、次第に減少している。だが、日本人の買春ツアーは、2006年に韓国で性売買(売買春)防止特別法が施行された後、むしろ増加する傾向にある、と警察は説明した。風俗街から追い出された売春婦たちが、日本人観光客を相手にする業者に集まり、また円高のあおりで日本人観光客が大幅に増加しているためだ。

権承俊(クォン・スンジュン)記者

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/10/29/2012102901106.html


追記:週刊ポスト』ですけど、日本ではこんな記事も出てますねえ。多文化社会論の文脈でコメントを寄せている佐竹眞明氏は、こんな記事として出ることを了承していたんでしょうか。

日本人風俗嬢 2050年に富裕層しか遊べない対象になるとの予測
2012.10.25 16:00

 平均寿命が伸びる一方で、日本の人口は現在の1億2800万人から2050年には9700万人にまで減少。とりわけ深刻なのが15歳から64歳までの「生産年齢人口」の減少だ。

 生産年齢人口を維持するためには、2050年まで年間約64万人の外国人・移民の受け入れが必要になると予測されている(2005年経済財政白書)。このことは日本人のセックスにも重大な影響を及ぼしそうだ

 名古屋学院大学国語学部教授(多文化社会論)の佐竹眞明氏がいう。

「日本人と外国籍者との結婚、いわゆる国際結婚は80年代から増え始め、2010年には結婚全体の4.31%を占めている。とくに1985年から2000年までの15年間で件数も割合も約3倍になった。外国人の受け入れ体制が整備され、日本経済が回復するという条件つきで話をすれば、国際結婚は2050年までの間に3倍の13%ほどになる可能性は十分ある」

 当然、風俗業界にも外国人が大量に流入することが予想される。風俗雑誌『俺の旅』編集長の生駒明氏は、その結果、日本人風俗嬢の価値が高騰すると見る。

「もともと風俗業界では外国人女性の人気が低い。今後、外国人の受け入れが進めば、料金の低落傾向に拍車がかかるでしょう。逆に日本人女性は、日本語で会話できるうえ、細やかな気配りができる点が重宝がられ、“ジャパン・プレミアム”ともいえる価値高騰が起きると考えられます。富裕層は高い料金を払って日本人風俗嬢と遊べる一方、一般庶民は低料金の外国人風俗嬢に流れるのではないでしょうか」

週刊ポスト2012年11月2日号

http://www.news-postseven.com/archives/20121025_150894.html

グローバル化と社会的「弱者」 (平和研究)

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*1:有名なところでは、ドイツのFKKとかですね。