【大邱の風景】大邱市立公園墓地・追慕の家

前回の続き。大邱市立の公園墓地を見て回ります。

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全体図を再掲。

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大邱市には現在、公設墓地が4か所あり、そのうち3つがこの漆谷郡に集中しています。今いる公園墓地(1974年開設)が枝川面、他の2か所(1935年/1964年開設)は東明面にあり、大邱市内の城西共同墓地(1937年開設)は郊外だったはずが市街地化してNIMBY施設扱いされているという状況のようです。

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そっちはそっちでまた行かんとあかんなと思いますが、今回はまずこの公園墓地に集中するとします。手始めに追慕の家、つまり奉安堂、わかりやすく言えば納骨堂の方から見ていきます。

公設の奉安堂があるのは大邱ではここだけです。そのため、需要に対する供給の不足という状況が長らく続いており、国家有功者と基礎生活(生活保護)受給者を除く一般市民は長らく利用を制限されています。問題の抜本的解決のためには、(仁川市がガンガンやってるように)奉安堂の増設しかないわけですが、どうも捗っていないようです。

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全体的に大邱は、火葬率が急上昇した2000年代以降、公設墓地にあまり動きが見られないのが特徴と言えば特徴ですね。

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ともあれ現地。手前が第1追慕の家、奥が第2追慕の家です。

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第1追慕の家から見ますかね。

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内部はこんな感じです。1974年に造られたにしては明るい。おそらく2000年代以降にリモデリングされて、開設当初の面影はなくなっていると思われます。

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この合成樹脂製の納骨壇は、その時期(わりと初期)に整備された各地の納骨堂で見られるタイプです。これがあるところはだいたい設置時期が特定されます。

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そしてこちら。もう少し時代が下った後に出てくるタイプの納骨壇が途中から入っています。これはつまり、さして大きくはないこの規模の納骨堂でも最初から満場を予定していたわけではなく、需要の増大に合わせて段階的に納骨壇が設置されていったことを示しています。たぶん、2000年代半ばから2010年代にかけての話でしょう(一般市民の利用制限公告が出されたのが2012年のことです)。

古いタイプの納骨壇の方にやや空きが目立ちますが、これは基礎生活(生活保護)受給者や福祉施設入居者、無縁故者などといった方々のためにとってあるのだと思われます。

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さて、続いて第2納骨堂。こちらの設置は2002年。現行の葬事法が公布され、火葬率の上昇が始まった後に造られています。

建物の築年数は第1と第2で差がありますけど、納骨壇の整備時期はあまり変わらないので、雰囲気的にはそこまでの差はありません。第1のほうがちょっと狭苦しく感じられるくらいですかね。

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第2奉安堂の特徴を挙げるとしたら、2002年から2012年までは一般人の納骨が進んでいたためか、使用期間の延長申請と管理費の納付を求める「奉安使用期間満了案内」の黄色い紙が貼られている納骨函がかなり目立つ、という点でしょうか。

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大邱市は条例で奉安堂の使用期限を10年としています。これは、継続使用を妨げるものではありませんが、延長申請や管理料納付といったハードルを設けて、奉安堂利用におけるリサイクルを促す意図があることは間違いないでしょう。

대구광역시 장사시설의 설치 및 운영 조례 - law.go.kr

제25조(봉안당의 사용기간(개정 2008. 5. 13 조례 제3938호)) ① 공설봉안당의 사용기간은 10년으로 하되 10년 단위로 두 차례에 한정하여 연장할 수 있다. 다만, 무연고 유골의 안치기간은 10년으로 한다. <개정 2008. 5. 13., 2011. 10. 10.>

② 제1항의 규정에 의하여 사용기간을 연장하고자 하는 자는 사용기간 만료일 전후 각각 3개월 이내에 시설관리자에게 연장신청을 하여야 한다. 이 경우 별표 2에 의한 관리비를 납부하였을 경우에는 연장된 것으로 본다. <개정 2013. 11. 11., 2016. 10. 31.>

③ 사용기간이 만료된 후 제2항의 규정에 의한 사용기간을 연장하지 아니한 때에는 영 제9조제2항의 규정에 의한 절차에 따라 처리하여야 한다. <개정 2015. 3. 2.>

実際問題としてはとっくにリサイクルが始まっててもいい時期ですが、慎重を期しているのか、まだあまり動きは見えません。ただ今後、そうした動きが本格的に始まれば、納骨堂への「一般入居」が再開される可能性もないではないでしょう。

ま、最終的には増設しか策はないですし、現行の利用制限の枠内で回される可能性の方が高いとは思いますけど。