熊本豪雨から1カ月目の追悼

豪雨災害からひと月が過ぎ、復旧はまだまだでしょうけど、各地で追悼が行われたようです。

球磨川見つめ鎮魂の祈り 熊本豪雨1カ月、被災地で追悼
2020/8/4 23:00 (JST)8/5 14:17 (JST)
©株式会社熊本日日新聞社

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母と伯母が濁流にのまれて犠牲となり、実家跡で線香を上げ、球磨川を見つめる家族ら=4日正午すぎ、球磨村のJR球泉洞駅前(高見伸)

 死者65人、行方不明者2人-。熊本県南部を中心に甚大な被害をもたらした豪雨災害は4日、発生から1カ月を迎え、被災地は犠牲者への祈りに包まれた。

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 球磨川の氾濫で25人が亡くなった球磨村では、午前9時にサイレンが鳴り響いた。松谷浩一村長は防災無線で「安心して暮らせるまでには時間を要するだろうが、日常生活が早く取り戻せるよう全力で取り組む」と決意を述べた。

 同村一勝地のJR球泉洞駅前では、犠牲となった川口豊美さん(73)と牛嶋滿子さん(78)の家族が、駅前にあった家の跡地で線香を上げ、球磨川に向かって手を合わせた。

 20人が犠牲となった人吉市も同時刻、下城本町の市役所仮本庁舎で市災害対策本部の会議を開催。会議冒頭、市幹部や県職員ら出席者約30人が起立し、サイレンが鳴る約30秒間、目をつむり頭を下げた。松岡隼人市長は「私たちそれぞれが大切なものを失った。あらためて亡くなった方々に哀悼の意を表したい」と述べた。

 八代市は正午、同市坂本町の住民の避難所となっている市総合体育館トヨオカ地建アリーナ、千丁コミュニティセンターなどで黙とうを呼び掛けた。

 同町では4人が亡くなり、1人が行方不明。市鏡支所では職員らが館内放送に合わせ1分間の祈りをささげた。中村博生市長は「被災者、特に家族を亡くした方にとって、つらい1カ月だったと思う」と気遣った。

 土砂崩れで3人が犠牲となった津奈木町では正午、防災無線でサイレンを鳴らし、住民や町職員が1分間の黙とう。山田豊隆町長は犠牲者への哀悼と全国からの支援への感謝の意を示し、「住民が安心で安全な生活を取り戻せるように全力を尽くす」と話した。(米本充宏、吉田紳一、益田大也、山本文子)

https://this.kiji.is/663383170435171425?c=92619697908483575

被災地包む追悼の祈り 豪雨災害発生から1カ月
2020/8/5 6:00
西日本新聞 熊本版 井崎 圭 長松院 ゆりか 壇 知里 綾部 庸介 梅沢 平 中村 太郎 松本 紗菜子 和田 剛

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住民らに被災者支援の内容などを説明する神照寺の岩崎哲秀さん(左から2人目)

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さくらドームで黙とうするボランティアや職員ら

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被災当時からほとんど手つかずの八代市坂本町荒瀬の集落

 熊本県内で65人が亡くなり、2人が行方不明となっている豪雨災害は4日、発生から1カ月を迎えた。倒壊した建物などがなお残る被災地は追悼の祈りに包まれ、被災自治体は新たな部署を設けるなど復旧、復興への決意を新たにした。

 20人が犠牲になり、約630人が避難所生活を続ける人吉市では、市が午前9時に防災無線でサイレンを鳴らし追悼を呼び掛けた。浸水被害が広がった同市下青井町の別府ひろえさん(81)は「うちの近くで3人が亡くなった。こんなひどか災害は初めて。悲しいことです」と悲痛な面持ちで語った。入所者14人が犠牲となった球磨村特別養護老人ホーム「千寿園」でも、ゆかりのある人たちが次々と献花に訪れ、静かに手を合わせていた。

 被災地では泥で汚れた家屋の清掃やがれきの撤去などが急ピッチで進む。しかし八代市坂本町葉木の集落では高齢者世帯など手つかずの家も多く、自衛隊員が重機や車両で片付けに当たった。男性自衛官は「少しでも役に立ちたい」。1カ月ぶりに自宅に入った蓑田正晴さん(70)は「やっと子どもたちの思い出の品を取り出せた」とかすかに笑顔を見せた。ただ「もうここには住めない」。

 人吉市中心部のスポーツ店に市民ボランティアが開設した支援物資の供給拠点には、扇風機や紙おむつ、ペットフードなどが山積みに。近くで美容院を経営する川嶋久美子さん(42)は「車が浸水して廃車になったので近所に拠点があるのは助かります」。それでも人手は不足しており「店の再開はいつになるのか」と不安を隠さなかった。

 球磨村のさくらドームに集まったボランティアは持ち場に向かう前に黙とう。今回が3回目の参加になるという製造業労働組合役員の森祐樹さん(33)は「地区によって復旧の程度は違うが、状況は少しずついい方向に変わってきた」。

 被災直後、運動場に付近住民の無事を知らせる「120メイヒナン」を大きく記した球磨村の神瀬保育園に隣接する神照寺では、有志らが汗を流した。昼食休憩の際には、熊本地震で被災者支援の経験がある岩崎哲秀住職が、被災住民に支援策が書かれたチラシを示しながら「早めに申請をしておいた方がいい」などとアドバイスしていた。

 県や市町村は被災者支援に本腰を入れる。県議会は4日、臨時会を開き、豪雨災害と新型コロナウイルスへの対策費計441億9300万円を追加する本年度一般会計補正予算案など7件を可決した。冒頭、県議らが豪雨の犠牲者に黙とうをささげた。県災害対策本部会議で蒲島郁夫知事は「畳や家具、がれきなどを一日も早く撤去し、生活再建を後押しする」と述べた。

 人吉市は同日、松岡市長を本部長とする災害復興本部を発足。メンバー17人はいずれも兼務で、被災者や産業支援、インフラ強靱(きょうじん)化などの課題に部や課を超えて取り組むという。

 八代市は総務企画部内に復興推進課を新設。被害の大きかった同市坂本町を管轄する坂本支所には職員1人を増員した。復興推進課は5人態勢で復興計画を策定する。辞令交付式で中村博生市長は「地域を守るための課になる。住民の思いを調整する難しい業務で丁寧に取り組んでほしい」と訓示。宮川武晴課長は「国や県など関係機関と連携しながら一丸となって取り組みたい」と話した。

 (井崎圭、長松院ゆりか、壇知里、綾部庸介、梅沢平、中村太郎、松本紗菜子、和田剛)

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